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- 樋口真嗣(映画監督) 盗んで積み上げて壊してつくる!
盗んで積み上げて壊してつくる!
アニメーターから特撮監督、長編実写映画監督へと、映画界で躍進を続けている樋口真嗣監督。まもなく公開される最新作は、黒沢明監督作品を現代版として作り上げた『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』。
興味や趣味を深く追い続けながらも、関わった仕事のひとつひとつを確実にキャリアとして積み上げてきた。これまでの過程や経験に対する姿勢、キャリアアップについてお伺いしました!
特技監督をはじめ造形や絵コンテで数多くのアニメーションや特撮映画作品に参加してきた。特に絵コンテは多方面から高い評価をもらっていた。だが、『ローレライ』で長編実写映画監督としてデビューした2005年、大きな変化を迎えた。
「ワンカットとワンカットを繋げて作っていくアニメや特撮では、連続性のないものに連続性を付加させていくことが、仕事の一番ダイナミックな部分でした。だから絵コンテを通して、最終的にどんな絵をつくりたいかをスタッフ間で共有することが、とても大事だった。ところが、目の前で起きる役者の芝居の方が、絵コンテよりもはるかに刺激的で面白かったんです」
最新作『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』では、出演者の松本潤、長澤まさみ、阿部寛たちに絵コンテを見せたりはしなかった。あくまでも何を撮ろうとしているかを撮影スタッフに伝達するために使用した。
「松本潤くんも長澤まさみさんも、後から合成される現実には見えていないものに対して、すぐに的確な演技をしたのには驚きました。子供の頃からアニメーションやCG映像を見て育った世代だからかな。彼らの演技を見て、より一層こちらが絵コンテに縛られてしまってはいけない、と思いました」
絵コンテ通りではなく、役者たちの演技によってその場で起こったもっと面白いことを冷静に判断する。それが良ければ使い、駄目ならもっといい方法を探っていくことが大事だと痛感させられた。

絵コンテ
2008年5月10日(土)ロードショー
常に経験に縛られないことを意識している。積み上げてきた過去に囚われ、邪魔になることさえあるからだ。
「初めて長編実写映画を監督した時、アニメーターや特技監督としての方法論に縛られていたと気づかされました。それじゃダメだって思って、積み上げてきたものを壊したんだ。それぐらいの大胆さがないと、先に進めなくなるんだよね」
過去のキャリアに縛られるよりも、目の前に置かれた現実の対処法を考えることが大事だ。広い視野とマルチな視点を同時に持ち、柔軟に課題に取り組む。それこそが実力となって先の道を開くきっかけとなる。
「それから、周りにいる一番上手い奴にとりあえずくっつけ。そして、そいつから盗め。“隣にいるちょっと上手い奴”なんてレベルでは駄目。こいつには敵わないと思う相手を探すところから、自分の試練は始まるからね」
特別な勉強をしたり、技術を持ったりしていたわけではなかった。尊敬する人から色々なものを吸収することでキャリアを築いてきた。
「しかし、ここでひとつ問題がある。自分が一番上手い場合どうするか(笑)。その場合は、自分より上手い奴を見つけるまで旅を続けろ!幸い俺の周りには、俺より上手い人がたくさんいて、今でも多くを学ばせてもらっているよ」
1965年東京生まれ。映画「ゴジラ」(1984年)に造形助手として参加。その後、自主制作映画団体DAICON-FILMでの活動を経て、GAINAX初のテレビシリーズ「ふしぎの海のナディア」に絵コンテ、監督として参加。1992年の東京消防庁の防災映画「太陽が引き裂かれた日~東京大地震」でマルチメディアグランプリ・展示映像部門に入賞。特技監督として参加した「ガメラ大怪獣空中決戦」(1995年)では、日本アカデミー賞特別賞ほか、数々の賞を受賞。続く「ガメラ2 レギオン襲来」(1996年)では朝日デジタル大賞を受賞した。
TVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」(1997年)では、絵コンテ、脚本を担当。鈴木清順監督「殺しの烙印 ピストルオペラ」(2001年)では特撮・タイトルバック、佐藤信介監督「修羅雪姫」(2001年)では特技監督、「ドラゴンヘッド」(2003)では視覚効果デザイン、「CASSHERN」(2004)ではバトルシーンの絵コンテを担当するなど数多くの作品に参画、現代の日本を代表するビジュアルクリエイターである。
2005年「ローレライ」で長編実写映画監督としてデビュー。2006年「日本沈没」監督。
監督最新作「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」は2008年5月10日より全国ロードショーされる。







